日時:2004年3月23日(火)13:30〜17:00
会場:統計数理研究所 講堂
当日のプログラムは、こちら。
カイ離率とαβ離率γδ離率による株の売買行動分析
近藤 明良(拓殖大学)
上田 勝雄((株)アイ・アンド・シー)
αβ離率γδ離率を定義し提案した。そしてそれらが如何に投機の売買に役立つかまた好結果もたらし低金利時代に低リスク高配当が得られるかを述べたものです。
広域メッシュ統計値からの小売集積地の抽出と影響圏の導出
田村 仁(東京理科大学経営学部)
本論文では、メッシュと呼ぶ格子状の区域別に商業統計値を整理した広域メッシュ統計値データから、行政区分に影響されない小売集積地を、画像処理技法を応用して抽出する。また、消費者行動の仮定から小売集積地間の接続性を推定し、影響圏の導出を図る。小売集積地の影響圏とは、その小売集積地と競合関係にある別の小売集積地の範囲、集合をいう。実際に平成7年度の埼玉県のメッシュ統計値データから得られた影響圏を、実際に行われた消費動向調査の結果と比較したところ、十分妥当な結果を得られたことが確かめられた。
関連記事の自動探索と可視化
石塚 隆男(亜細亜大学)
高嶋 啓介(東京都立科学技術大学)
山本 久志(東京都立科学技術大学)
本研究では、新聞記事データベースからある事件や事故を報じた一連の新聞記事を自動的に探索し、その結果を可視化することを目的とする。具体的には、記事間の類似度として荷重idfを用いた類似度を定義し、パス図を応用した記事マップにより可視化を試みた。荷重idfは、共通する単語により連鎖する記事を抽出するのに有効と考えられるが、記事間の関係構造と荷重関数の与え方についてさらに検討する必要があろう。また、本手法は相関係数行列から出発する共分散構造分析にも類似しており、理論的な検討を行っていきたい。
脳卒中後片麻痺患者の歩行移動動作テストの簡略化の検討
清水 和彦(北里大学医療衛生学部)
In our previous study using 179 post-stroke patients with hemiplegia, we employed the standard test consisting of 93 items for assessing gait or related ambulatory actions to investigate the relationship between the comprehensive evaluation by the rater and the sum of all 93 test scores, between the grade of functional disturbance of the patients and the number of tests which could be performed successfully by the same patients, and the mutual correlation among all tests expressed by the scores. In present study, we first confirmed by means of principal component analysis whether each test item used in previous study was effective for evaluation of the severity of ambulatory disability, but not of other functions such as body balance. Then, we narrowed down the number of selected test items by referring to the results of Cronbach’s alpha and their respective clinical features. Finally, we worked out an abbreviated test battery composed of 7 items. The alpha value of the combination of this refined test battery of 7 items stood at 0.958. The sum of the 7 item test scores for each individual was statistically compared with the subjective scores given by the raters in their comprehensive evaluation. The resulting correlation coefficient was 0.982. These results provide evidence that our new shorter test battery would maintain its higher performance both in validity and reliability, even when the number of test items is reduced from 32 to 7.
『データの科学』所感
矢島敬二(東京理科大学経営学部)
林知己夫『データの科学』(朝倉書店、2001)読後の所感として次のようなことがある。まず科学の対象としてのデータの範囲規定が明確でないように思われること。もしデータ一般を扱うのであれば物理学などを含むデータ一般の取り扱いについても論じなければならなくなるのではないかと思われるが第2章の「データをとること」では行動計量科学の分野のデータのみを扱っていること。それらの点をふまえると書名は『行動計量科学研究におけるデータの科学』などと少しく限定した方がよいのかという感ずるが、方法論は広範囲の適応性をもつことも主張すべき事実であろう。
大規模二値データのクラスタリング
佐藤 義治(北海道大学大学院工学研究科)
本報告における大規模なデータとは属性の数および観測数ともに多数あることを想定しているが、特に属性数が多くなると、従来の二値データの類似度の概念では不十分なものがあり、また、通常の数値データに対応する平均や分散の概念を自然な方法で定義することは困難である。そこで、本研究では二値データを方向データ(directional data)に変換し、それに基づく、記述的な諸量(平均や分散)を用いて、従来のk-平均法に相当するクラスタリング法を提案したものである。属性数が約1500あるデータ(ウェブ含まれる画像を含む情報が広告か否かを区別する)に対する実験では有効に機能することが示された。
国際比較調査からみた健康感と国民性─質問項目と国・地域のパターン分類
山岡 和枝(国立保健医療科学院)
吉野 諒三(統計数理研究所)
健康感と国民性に着目し、国際比較調査おける質問と国・地域の関連性について、質問文の相違、地域、調査時点での類似性を検討した。調査対象は一般成人住民で、調査方法は統計的に無作為抽出した調査対象への個別面接聴取法である。回答傾向の相違という観点から時点、質問文、回収後サンプルのウェイトの有無について頻度および構造について検討したところ、構造の類似性に関しては、回収後サンプルの性・年齢層ウェイトの有無、および同時期の2つの調査間での影響は大きくないことが示唆された。