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会長挨拶

日本分類学会会長
今泉 忠

日本分類学会が「分類の理論と応用に関する研究会」として発足したのは,1983年6月です.その設立趣意書は,以下のような文言で始まります.

「"分類"はあらゆる科学における基本的な思考操作である.しかしながら,このことは従来とかく看過されがちであった."分類を通じて物事を知る"ということがあまりにも当然であるために改めてそれが固有の方法であると意識されなかったのである.この傾向は今日もなお残っている.そのため,本来思考の枠組として科学的見地から検討されるべきはずの分類に対する研究は進展しなかった.にもかかわらず,取り扱う現象や情報が単純であった時代にはそれでも支障が少なかったといえる.

しかし,いまや状況は一変した.計算機や情報科学の発展がデータを扱う諸科学に強烈な影響をもたらし,どの研究分野においても多種多様の膨大なデータが蓄積される時代になった.また,計測技術の進歩により,扱う情報が複雑になり,その様相も多元的かつ動的なものに変質している.」

この文言は,30年を経過し,「多種多様の膨大なデータが蓄積される」時代から,「多種多様の膨大なデータから新しい情報を生み出すための」時代へと変わった2013年においては更なる重要性を持っていると考えます.非構造化データまでを含む多種多様の膨大なデータから,科学的思考により現象をモデル化し,質の高い情報を得るための科学的な方法としての分類方法の位置づけとその利活用での妥当性が問われています.

日本分類学会の特色は,国際的な研究促進活動にあります.1983年の設立時から国際分類学会連合(International Federation of Classification Societies: IFCS,1985年設立)の創立に参加しています.1996年には日本分類学会主催によるIFCS1996が神戸において開催されました.その後,IFCSの賞としてChikio Hayashi Award という若手研究者の育成を目的とした賞も設立されました.IFCSは、現時点で14カ国の学術団体が参加し,2013年7月には第13回の国際会議がオランダのティルブルグで開催され日本からも多くの参加者がありました.その他の本学会の国際的な研究促進としては、2012年3月に京都(同志社大学)で第4回日独分類シンポジウムを開催し,また,2012年9月には第1回日伊分類シンポジウム(JCS-CLADAG2012)をイタリア,カプリ島で開催しました.また,2007年より日本・ドイツ・イタリアの分類学会の協力のもとで学術誌 Advances in Data Analysis and Classificationも出版されています.

一方,国内向けには,2011年からは,データ科学の広範な分野の学際的な研究交流の成果公表の場として和文誌「データ分析の理論と応用」を創刊しました.和文誌名が示唆しますように,さまざまな分野でのデータ分析に関連する実践的な応用,あるいは,方法の開発,理論の発展において有益あるいは独創性のある業績を,論文として斯界に広く知らしめることを目的に発刊されています.

今後ともに,本学会の特徴である,データへの科学的思考に基づく分類手法の理論とその実践的な応用の発展を図ること,および,国内外の学術団体の共同研究促進を積極的に図って参る所存です.

皆様の本学会の活動へのご支援とご協力をお願いいたします.また,会員の皆様には大会やシンポジウムへの積極的な参加,欧文誌「ADAC」,和文誌「データ分析の理論と応用」への投稿をお願いいたします.